サーフィン初心者や中級者にとって、ミッドレングスとロングボードは非常に人気があります。ショートボードに比べて、ミッドレングスやロングボードは、幅広で、比較的厚く、その長さも相まって、浮力が高いため、パドリングや波から得られる力によってより高いボードスピードを得ることができます。それによってショートボードではライディングが難しいパワーレスな波のコンディションでもサーフィンを楽しむことができ、初心者にとっても扱いやすいボードであるといえます。

長いボードの特性をおさえて、正しいボードの扱い方を理解すれば、サーフィン上達の大きな助けになると思いますので、この記事を読んで、次に海に出るときに意識してみてください。

1. 立つ位置は状況に応じて変化する

まず両足の置き場所ですが、長めのボードではテイクオフのときと、ターンなどボードを操作するのに重心を移動させたりするときとでは、立つ位置が変わります。ショートボードならば、両足のスタンスの位置を少しずらす程度で立つ位置の調整が可能ですが、長めのボードではそれだけでは不十分で、ボード上で両足の位置を前後に移動させる必要があります。

テイクオフのとき

テイクオフの時には、パドリングの力だけでなく波から得るパワーを最大限に利用してボードスピードを得ることでボードが安定するので、ボードの重心の上に自分の重心が重なるような位置に立つことになるはずです。

テイクオフの後、スピードを得ようとしたり、維持しようとしたりして、前に体重がかかりすぎる位置に立つとボードが逆に失速しますし、最悪の場合ノーズが下がって水面に食い込んでしまって、パーリング、ワイプアウトしてしまうでしょう。そうならないためには、ノーズが少し水面から離れるくらいの状態を維持できるポジションを保つのが基本です。

(写真:ボードの重心に自分の重心が重なりバランスが取れている)

ターンなどでボード操作をするとき

波のフェイスをとらえて、ボードが走り出してターンをするときには、そのままの位置では必要なボード操作ができません。強引にレールを立ててターンをすることもできますが、それには高度なテクニックとバランスが必要になってしまいます。

まず後ろ足を少し下げて、フィンに近い位置に乗せます。足の移動は小刻みに、ボードについている前足でボードをコントロールしながらすばやく下げます。

(写真:後ろ足をフィンに近い位置に乗せている)

安定したプレーニング状態(ボードが波から上向きの揚力というパワーを受けて進んでいる状態)を維持しながら、下げた後ろ足にあったニュートラルなスタンスが取れる位置に前足を移動します

このように、長めのボードの場合、立つ位置は常に状況に合わせて最適なポジションに移動することになります。

 

2. スタンスと姿勢

両足の置き方

基本的なスタンスとは、両足を肩幅くらいに開いて、ストリンガー(ストリンガーが見えていない場合はボードの幅の中心線と考えてください)に対して、前足は45度、後足は90度の角度になるようなおき方を目安とします。

利き足がの場合、足が後足になり、これをレギュラースタンスといいます。一般的にはレギュラースタンスの方が多いです。

利き足が左の場合、足が後足になり、これをグーフィースタンスといいます。

自分がどちらなのかは、普段運動をする時の利き足で判断するか(高飛びや幅跳びでジャンプするときの踏み切り足ではないほうが利き足であることが一般的です)、実際にボードの上に立ってみて確認できるといいのですが、陸上で確認する場合は、スケートボードに乗ってみると分かりやすいと思います。

実際に乗ってみて、最終的には利き足にかかわらず、前進しながらのバランス感覚やボード操作をするのにより自然に感じるか、違和感のないほうを選びます。

基本の姿勢

正しい基本の足の位置と向きを意識して、膝と腰を適度に曲げた柔軟な自然体になるように心がける必要があります。

立ち位置を変えないままに、無理にターンしようとして、両足の置き方が外向きにして、がに股のしゃがんだ状態になっている人を見かけることは案外多いものです。実際のところは、がに股でしゃがみこんだ姿勢は、乗っている本人には安定しているような感覚があるかもしれませんが、カッコ悪いだけでなく、ボードコントロールや足の位置の移動などもしづらい姿勢になってしまっていて、ボードを動かすために必要な動作の妨げになりますので、悪い癖が身につかないように注意してください。

両足の間隔は肩幅くらいが基準です。あまり間隔を広くとってしまうと、重心を低くしやすくはなるのですが、その分ボードコントロールのための動作ができなくなってしまいます。あくまでも足首、膝、腰を自然な角度で曲げた状態であることでバランスのよい姿勢をとることができます。様々な状況に柔軟に対応できおるような足幅を身に着けましょう。リラックスした、自然な状態を常に意識することが大事です。

長めのボードでは、姿勢、スタンス、立ち位置などを状況やライディングに合わせて適切にアジャストすることがボード操作をする上で必要になってきます。

 

3. 長いボードを動かす方法(コツ)

ボードはどうすれば動くのか

極論すれば、曲がりたい方、ボードを動かしたいほうのレールを水に沈めてやればボードはそのように動きます。傾け方が大きすぎればサーファー自身がバランスを崩して落水してしまうこともあります。

(写真:進みたい方向のレールが水に沈んで進んでいる)

そうならないために必要なのが、正しいスタンス、姿勢、立ち位置、そして適切なボードの傾け方というわけです。

ボードを動かすには全身の動作と流れが必要

ボードを傾けることばかりに気がとられていると、傾けるための動作だけに意識が集中し、全体の動作が不自然なものになりがちです。ともすれば、スタンスを広く取って、しゃがみこんだ体勢で無理にバランスをとりながらレールを水に沈めるような状態になっている方を見かけることがあります。

ボードを動かすには体全体の動きの流れが必要です。その流れが円滑にいって初めて、思ったようにボードが動いてくれるようになるのを体感することができるでしょう。

一連の動作に連動したボードの動き

目線は波を滑走していく先に置きます。そして、腕、肩、胸、と上半身の動作が連動して、腰の動きへと繋がっていきます。腰の動きを下半身に伝えるためには正しいスタンスと姿勢が必要で、両足の置き方と、膝のクッションのとり方によって上半身の動きが腰の回転となり、腰の回転が下半身全体の動きへとスムーズに伝わっていきます。

(写真:正しいスタンスと姿勢)

特に後ろ足の膝が外を向いてしまい腰の回転領域が狭くなってしまっていると、せっかくの上半身の動きが腰で途切れてしまい、下半身の動きへとつながらないので、無理に膝や足首を使って無理やりボードを傾けることになってしまうので、上半身が無理にバランスとろうとしてします。これが前述のがに股、しゃがみこみスタイルに陥りやすい原因です。

最初のうちは緩いターンや小さなボードの動きで満足できるかもしれませんが、これを改善して、正しい自然な姿勢からの動作を身に着けないでいると、ボードが思うように動かせないと言う壁に直面することになってしまいますので、自ら上達の道を断ってしまうことになりかねません。

自分で気づくことは難しいので、できれば誰かに自分のサーフィンの様子を録画してもらったり、アドバイスしてもらうようにすることが望ましいと思います。


まとめ

ロングボードやミッドレンスなどの長めのボードは、ショートボードに比べて波のコンディションを選ばず、安定しているので、初心者にとっては扱いやすいボードといえる半面、ボードを動かすにはショートボードよりも大きな動作によるボードコントロールが必要になります。

適切なボードコントロールのためには、正しい姿勢、正しいスタンス、適切な立ち位置が揃っていることが必要になります。自分のフォームがどうなっているか、まず自分で意識を持つことが必要です。サーフィンをしながら自分で自分の状態を知ることは難しいので、自分のライディングを客観的に見ることができるような機会を持つようにすることをお勧めします。だれかにアドバイスをしてもらうか、もしくは動画を撮ってもらってあとで自己分析できるようにしておくと、これから先の上達の大きな助けになるはずです。

タグ: ハウツー