サーフポイントとしての海を知る
サーフィンを始めてみて、最初のうちは波に翻弄される自分とボードの扱いに精一杯で、とても大自然のふところの深さを感じるどころではないと思います。とにかく無我夢中で波と格闘して、どうにか波の力をボードの推進力に変えて、波をねじ伏せて乗りこなすようなイメージをもっていたりしませんでしたか?
そして徐々に上達するにしたがって、波と格闘するというよりも、むしろ融和するという感覚を強く持つようになるものだと思います。
自然を相手にするスポーツですから、上達するにも安全を確保するためにも海を理解することが大切になります。今回はサーフィンをする上で知っておきたい海の読み方に触れてみたいと思います。
1. リーフブレイクとビーチブレイク
サーフポイントの特徴として、その地形的特徴からリーフブレイクとビーチブレイクとに大別されます。
リーフとは海底がサンゴ礁や岩盤などでできているポイントで、ブレイクのポイントが一定していて、安定したブレイク(レギュラーブレイクやグーフィーブレイクの綺麗な形)で比較的サイズとパワーのある波が立ちます。ハワイのノースショアなどがその代表です。
ビーチブレイクとは海底が遠浅の砂地で、ブレイクポイントが動きやすく、サイズやパワーはリーフブレイクに比べると落ちます。千葉県の九十九里浜沿いのポイントなどがその代表です。
リーフブレイクのポイントは波の性質上、中級から上級者向けですし、海底で怪我をする危険性も高いので、初心者の方にはあまりおすすめできません。はじめは比較的穏やかなビーチブレイクのポイントで十分に練習をしてある程度上達してからリーフブレイクにチャレンジするのが安全でしょう。
リーフとビーチブレイクの中間として岩盤などの上に砂が堆積してできたビーチがあります。波の特徴もビーチブレイクほどブレイクポイントが動かず、波のパワーやサイズもあるという中間特徴があります。アメリカの南カリフォルニアのコースト沿いのポイントに多く見られます。
2. カレント(リップカレント/離岸流)
サーフポイントでは波がブレイクする場所が岸に近い場所をインサイド、波が沖のほうで最初にブレイクする岸から遠い場所をアウトサイドと言います。
アウトサイドは比較的上級者向け、インサイドのポイントはスープライディングから始める初心者の方が練習するのに向いています。
ここで注意したいのがカレントです。
岸に打ち寄せた波は、沖に向かう流れとなって沖のほうに向かって帰っていきます。この流れをカレント呼びます。海底の形状やうねりの方向によってその場所はほぼ一定しているので、よくみるとわかります。インサイドの波のブレイクを注意してみていると、波が多く打ち寄せる場所と場所の間に比較的ブレイクのない流れを見つけることができると思います。そこが離岸流の起きている場所です。
波は向岸流として岸に打ち寄せると、こんどは岸と平行な流れとなって、沖へ向かう流れへと向かいます。これを並岸流といいます。この力は大変強く、海で遊んでいて気づかないうちに元いた場所から離れてしまうのは、この流れによって流されてしまったということなんです。
それだけでも危険なことですが、それよりも危険なのは、並岸流が一本の沖へと向かう流れとなっている場所、つまり離岸流です。
この離岸流に乗ってしまったことに気づかないでいると、アッという間に足のつかない沖へと流されていってしまいます。遊泳中の事故などの原因となることが大変多いので、常に岸と自分との位置関係を確認、把握するようにしてください。
万一その流れに乗ってしまっているのに気づいたときには、流れから抜け出すにはコツがあります。一番大事なのはその流れの向きに逆らわないことです。どんなに体力のある人でも力尽きてしまうことが多く、それほどに流れの力は強いです。流れに逆行せず、垂直な方向に逃げることで、まずはその流れから逃げ出すことを考えるようにしましょう。
並岸流に乗って流されたと思ったら、一度岸に上がって、岸を歩いて元の位置に帰るのが賢明です。面倒なようですが、流れに逆らって元の位置に戻るにはその倍以上の体力が必要になりますので、無理しないようにしましょう。
離岸流が役に立つこともあります。上達して、海や波に慣れてくると、ゲティングアウトの時にはこのリップカレントに乗ってアウトサイドのポイントに出るようになります。サーファーは少ない力でこの流れから外れることができるのですが、パドルする体力やスルーのテクニックに自信のない間は十分な注意が必要です。
3. 風向き (オフショア、オンショア)
海のコンディションを見るのに風向きも大事な要素です。同じ海面の状態でも風の向きや強さによって、波の形や、潮の流れに影響がでます。沖から岸に向かって吹くかぜをオンショア、岸から沖に向かって吹く風をオフショア、岸とほぼ並行して吹く風をサイドショアと言います。
サーフィンのためのコンディションとしてはオフショアが望ましく、オンショアの風が強い場合、波がつぶれてしまうことがあります。
4. 波が起きるメカニズム
海の遥か沖で吹く風が海面に作り出した小さな『さざ波』が重なり合ってやがて丘ほどもある大きな『うねり』となり、陸地に近づいて、海底の影響による円運動に転換されてブレイクすることで『磯波(いそなみ)』として岸にうちよせます。このいそ波の立つ場所が私たちがサーフィンを楽しむスポットになるというわけです。
今日はサーフィンを始めるに当たって、是非おさえておいてほしい海の読み方をご紹介しました。同じサーフスポットでも、その日のうねりの向きや強さや風の影響などでカレントの位置や強さも変わることがありますので、いつもの慣れた場所だからといって油断しないようにしましょう。
海がその時々で表情を変えるのも魅力の一つなので、よく理解して遊んでみてください。