パリ2024オリンピック・サーフィン競技の全貌
2024年パリオリンピックのサーフィン競技は、フランス領ポリネシア・タヒチの伝説的な波「チョープー」で開催され、世界中のサーフィンファンを魅了しました。男子では地元タヒチ出身のカウリ・ヴァーストが金メダルを獲得し、女子ではアメリカのキャロライン・マークスが栄冠に輝きました。日本代表は稲葉玲王が5位入賞を果たし、五十嵐カノア、松田詩野、コナー・オレアリーも世界最高峰の舞台で健闘しました。この記事では、大会の全結果と注目の瞬間を詳しくお伝えします。
男子・女子メダリストと最終順位
2024年8月5日に行われた決勝で、男子は地元タヒチ出身の22歳カウリ・ヴァーストが17.67点で金メダルを獲得しました。
ヴァーストは8歳からチョープーでサーフィンを始めた生粋のローカルサーファーで、決勝では30分間でわずか2本の波しか乗らなかったものの、9.50点と8.17点という高得点を記録しました。銀メダルはオーストラリアのジャック・ロビンソン(7.83点)、銅メダルはブラジルのガブリエル・メディナ(15.54点)が獲得しています。
女子決勝は史上最僅差の0.17点差という接戦となりました。アメリカのキャロライン・マークス(22歳)が10.50点で金メダル、ブラジルのタチアナ・ウェストン=ウェブが10.33点で銀メダルを手にしました。
これによりアメリカは東京2020のカリッサ・ムーアに続き、女子で2大会連続の金メダルを達成しました。銅メダルはフランスのジョアンヌ・デフェイ(12.66点)が獲得し、開催国フランスは男女合わせて金1個、銅1個のメダルを獲得しました。
日本代表「波乗りジャパン」4選手の戦績
日本代表選手の最終順位
- 稲葉玲王:5位(日本勢最高)
- 五十嵐カノア:9位
- 松田詩野:9位
- コナー・オレアリー:9位
稲葉玲王は日本勢最高の5位入賞を果たしました。千葉県一宮町を拠点とする稲葉は、初出場ながら最も印象的な活躍を見せました。
ラウンド1では12.76点(7.33点+5.43点)でインドネシアのリオ・ワイダ、イタリアのレオナルド・フィオラヴァンティを破り1位通過しました。
ラウンド3では2022-2023年WSL世界王者のフィリペ・トレドを撃破するという金星を挙げ、トレドは巨大な波に圧倒されボードを破損してプレーを継続できませんでした。
稲葉は2023年にがんで亡くなったプロサーファー・小川直久氏のヘルメットを着用して大会に臨み、故人への敬意を示しました。 東京2020銀メダリストの五十嵐カノアは9位で大会を終えました。
ラウンド1では4.17点と苦戦したものの、ラウンド2ではイタリアのフィオラヴァンティを13.87点で下し復活しました。しかしラウンド3でガブリエル・メディナと対戦し、メディナがオリンピック史上最高得点の9.90点を記録した歴史的ヒートで敗退しました。 日本女子唯一の代表として出場した松田詩野も9位でした。
ラウンド1では前回金メダリストのカリッサ・ムーアと対戦し、8.33点で健闘しました。ムーアの9.00点には及ばなかったものの、バレルライドで存在感を示しました。約1年間タヒチでトレーニングを積んできた成果を見せましたが、ラウンド3でスペインのナディア・エロスターベに5.84点対8.27点で敗れました。
コナー・オレアリー(日本代表)も9位で終了しました。WSLチャンピオンシップツアー選手として出場し、ラウンド3ではオーストラリアのイーサン・ユーイングと対戦しました。
深いバレルで8.00点を記録してヒートをリードしましたが、ユーイングが8.67点のバレルで逆転し敗退しました。
ガブリエル・メディナの9.90点と世界を魅了した「浮遊写真」
2024年7月29日、ラウンド3のヒート5で、ガブリエル・メディナがオリンピック史上最高得点9.90点を記録しました。巨大なバレルを完璧に乗りこなし、波から飛び出した瞬間、AFPのジェローム・ブルイエカメラマンが奇跡の一枚を捉えました。
メディナが空中に浮かび、人差し指を天に向け、サーフボードが体と平行に宙を舞う—この写真は「ゴールデン・モーメント」と名付けられ、パリ2024全体を象徴するアイコニックな画像となりました。
この写真はメディナのInstagramで900万以上の「いいね」を獲得し、わずか1週間で約400万人のフォロワーを獲得しました。ネイマールやルイス・ハミルトンなど著名人がシェアし、「フォトショップか?」「AIで作られた?」という議論まで巻き起こりました。
2025年ワールド・スポーツ・フォトグラフィー・アワードでは最高賞のゴールドを受賞しています。
メディナ自身は「こんな波でオリンピックに出場できることは夢のよう」とコメントし、東京2020では4位に終わったメディナにとって、銅メダル獲得は初のオリンピックメダルとなりました。
チョープーの波と気象条件がもたらした劇的展開
チョープー(Teahupo'o)は「頭蓋骨の場所」を意味するタヒチ語で、世界で最も危険な波の一つとして知られています。
波は水深50cm以下の浅いサンゴ礁の上で崩れ、波の唇(リップ)1つで最大約4,000kgもの重量があります。パリから15,000km離れた場所で開催されたこの競技は、1956年メルボルン五輪の馬術競技(ストックホルム開催)以来、開催都市から最も離れた場所で行われたオリンピック競技となりました。
大会は7月27日から8月5日までの9日間のウィンドウ期間で行われ、実際の競技日は5日間でした。
7月29日は大会最高のコンディションで、6〜10フィート(約1.8〜3m)の巨大なうねりが押し寄せ、メディナの9.90点やジャック・ロビンソンの9.87点など歴史的スコアが続出しました。
しかし同日午後から風と雨が強まり、女子のラウンド3は延期されました。7月30日から8月1日、8月3〜4日は悪天候のため競技が中止され、最終日の8月5日に上昇した南西うねりを捉えて決勝が行われました。
東京2020との比較と歴史的意義
パリ2024はサーフィンのオリンピック史上2回目の開催であり、多くの点で東京2020を上回る成功を収めました。
東京2020では千葉県釣ヶ崎海岸(ビーチブレイク)で40選手が参加し、小さく風の影響を受けやすい波に批判的な声もありました。パリ2024では48選手に拡大され、世界最高峰のリーフブレイクで「サーファーが夢見る波」が実現しました。
最高スコアも東京から大幅に向上し、メディナの9.90点はオリンピック新記録となりました。 カリッサ・ムーア(東京2020金メダリスト)は大会中妊娠約10週であったことが後に判明しました。
準々決勝でジョアンヌ・デフェイに敗れましたが、2025年2月に長女オレナを出産後、2026年チャンピオンシップツアーへの復帰を発表しています。
パリ2024は5人に4人以上(84%)の世界人口がフォローし、ソーシャルメディアでは4,120億のエンゲージメントを記録しました。
サーフィンは新種目として特に若い世代の支持を得て、ミレニアル世代の47%がサーフィン等の新種目を好意的に評価しました。
ロサンゼルス2028への展望
2025年4月15日、ロサンゼルス2028のサーフィン会場はカリフォルニア州サンクレメンテのロウワー・トレッスルズに正式決定しました。
ISAのフェルナンド・アギーレ会長は「チョープーでの素晴らしい成功を経て、LAでも最高のパフォーマンス波を提供する必要があった」と述べ、波の質を最優先した選定を強調しました。 ISAはショートボード選手を24名増員(50%増)する要望をIOCに提出しており、2025年3月に回答が期待されています。
ロングボード種目(男女各16名、計32名)の追加申請は2028年では見送られましたが、2032年ブリスベン大会での採用可能性は残されています。
サーフィンは2021年12月にオリンピックの恒久的なコア競技に昇格しており、政府からの資金援助を受けられるスポーツとなりました。
よくある質問
パリ五輪サーフィンのメダリストは誰ですか?
Q: 男子のメダリストを教えてください
A: 金メダルはフランスのカウリ・ヴァースト、銀メダルはオーストラリアのジャック・ロビンソン、銅メダルはブラジルのガブリエル・メディナです。
Q: 女子のメダリストを教えてください
A: 金メダルはアメリカのキャロライン・マークス、銀メダルはブラジルのタチアナ・ウェストン=ウェブ、銅メダルはフランスのジョアンヌ・デフェイです。
Q: 日本代表選手の成績はどうでしたか?
A: 稲葉玲王が5位入賞で日本勢最高成績を収めました。五十嵐カノア、松田詩野、コナー・オレアリーはそれぞれ9位でした。
Q: ガブリエル・メディナの「浮遊写真」とは何ですか?
A: メディナがオリンピック史上最高得点9.90点を記録した直後、空中に浮かびながら人差し指を天に向けた瞬間をAFPカメラマンが撮影した写真です。「ゴールデン・モーメント」と名付けられ、900万以上の「いいね」を獲得し、2025年ワールド・スポーツ・フォトグラフィー・アワードで最高賞を受賞しました。
Q: 次回ロサンゼルス2028のサーフィン会場はどこですか?
A: カリフォルニア州サンクレメンテのロウワー・トレッスルズで開催されることが2025年4月15日に正式決定しました。
まとめ
パリ2024のサーフィン競技は、世界最高峰の波・チョープーで開催されたことで、東京2020を大きく上回るスペクタクルを実現しました。
ガブリエル・メディナの9.90点とアイコニックな写真は、サーフィンというスポーツの魅力を世界中に伝え、オリンピックの歴史に刻まれる瞬間となりました。
日本代表はメダル獲得には至りませんでしたが、稲葉玲王の世界王者撃破と5位入賞は、日本サーフィンの競技力向上を示す成果でした。
2028年ロサンゼルス大会では、南カリフォルニアの名門ブレイク・ロウワー・トレッスルズが舞台となり、サーフィン発祥地アメリカでの開催が期待を集めています。
記事を書いた人
Beach Access 編集部
国内外のサーフィンインフルエンサーと連携し、最新のトレンドや技術を追求。ソフトボードの設計・製造に携わる専門家を含む多様なメンバーで構成されており、幅広いユーザーに価値ある情報を提供しています。
